Osone Yukinori-青と黒-

続・いつになったら俺の人生は終わってくれるんだろうか?

とある「Handmade 589」について

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俺「…たぬ吉」

たぬ吉「あ、ご主人、どうしたの?浮かない顔しちゃって。まぁ、いつも大体そうだけど」

俺「ははは」

たぬ吉「オイラ、最近思うんだけど」

俺「うん」

たぬ吉「…聞きたい?」

俺「うん、聞きたい、聞きたい」

たぬ吉「本当に聞きたいの?」

俺「うん、超聞きたい」

たぬ吉「ふぅ~ん、どうしよっかなァ~?」

俺「…フフッ、たぬ吉、だんだんたぬ雄さんに似てきたね」

たぬ吉「え?父ちゃんに?」

俺「うん」

たぬ吉「どの辺が?」

俺「何と言うか、こう余白の作り方の上手さが」

たぬ吉「え?与作?」

俺「いや、よはく」

たぬ吉「与作さんは木を切るんだよ」

俺「うん」

たぬ吉「ヘイヘイホーって自分で自分を励ましながら」

俺「うん」

たぬ吉「カッコイイよね」

俺「うん、超カッコイイ」

たぬ吉「何の話だったっけ?」

俺「たぬ吉は超カッコイイって話」

たぬ吉「え?そう?オイラ、超カッコイイ?」

俺「うん」

たぬ吉「ご主人」

俺「はい?」

たぬ吉「えーっと、どこまで行く気?」

俺「何処まで」

たぬ吉「終わりは無いの?」

俺「終わりは死ぬ時」

たぬ吉「いつ死ぬの?」

俺「いつだろう?」

たぬ吉「あ、そうだ、秋だね」

俺「秋と言えば?」

たぬ吉「何だと思う?」

俺「…秋ってズルイよな」

たぬ吉「え?ズルイの?」

俺「うん」

たぬ吉「どう、ズルイの?」

俺「心底淋しくなれるのが気持ち良くなれちゃう季節」

たぬ吉「え?ご主人、淋しいの?」

俺「淋しい、淋しい」

たぬ吉「ふぅ~ん」

俺「たぬ吉は淋しいって無いの?」

たぬ吉「うん、オイラは無いよ」

俺「マジで?」

たぬ吉「うん、まぁ、正確には人間の淋しいって感情を特別視してないって言った方が分かりやすいかな」

俺「あぁ、なるほど、自然の摂理的野生の当たり前みたいな?」

たぬ吉「うん、そうそう、分かってんじゃん、ご主人」

俺「うん、でも野生ばっかり求めると人間としてどうなんだろうと言う葛藤が常につきまとうのよ」

たぬ吉「なるほど、まぁ、それも自然だね」

俺「うん」

たぬ吉「でも野生は魅力的だしね」

俺「うん、たまらんよね」

たぬ吉「まぁ、アレだよ、そこを上手にコントロール出来るのが大人なんだよ」

俺「…大人か」

たぬ吉「そう、アダルトだよ」

俺「あのさ、たぬ吉って、何歳なの?」

たぬ吉「それは秘密だよ」

俺「そっか」

たぬ吉「ご主人、何歳になったの?」

俺「36歳後半になりました」

たぬ吉「え!?マジで!?」

俺「うん」

たぬ吉「あれ?動揺しないの?」

俺「うん、別に」

たぬ吉「ちぇッ、今ので動揺させてもう少しからかってやろうと思ったのに」

俺「おぉ、なるほど、ごめん、そんじゃからかって」

たぬ吉「もう遅いよ」

俺「遅かったか」

たぬ吉「…」

俺「…」

たぬ吉「…」

俺「…」

たぬ吉「秋だね、ご主人」

俺「うん、秋だ」