2020/談笑
たぬ吉『ご主人』
俺「うん?どうしたの?たぬ吉」
たぬ吉『オイラ、盛りが』
俺「盛り?」
たぬ吉『うん』
俺「なるほど」
たぬ吉『…』
俺「…」
たぬ吉『…』
俺「…」
たぬ吉『フフッ』
俺「ははは」
たぬ吉『笑い事?』
俺「うん、いや、大切な事だよね」
たぬ吉『ご主人』
俺「はい?」
たぬ吉『そこらへん、どう考えてるの?』
俺「ズバリ?」
たぬ吉『うん、ズバリ』
俺「昔は男2人&女の子1人とか考えてたね」
たぬ吉『ふぅ~ん。その順番は?』
俺「長男、長女、次男みたいな」
たぬ吉『…なるほど』
俺「うん」
たぬ吉『お金かかるね』
俺「ははは、うん、そうね、大卒まで行かせたら超大変ね」
たぬ吉『うん』
俺「うん」
たぬ吉『あのさ、ご主人』
俺「はい?」
たぬ吉『オイラはさ、別にご主人がどうなろうが知ったこっちゃないけど、出来れば愉快に幸せになって欲しいんだよ』
俺「なるほど、愉快に幸せ」
たぬ吉『うん』
俺「でも俺はいつも殺伐と愉快で幸せよ?」
たぬ吉『それは頭の中で考えてる事だけでしょッ!!!』
俺「あぁ、うん、そうね、よく御存知で」
たぬ吉『もっと現実を一気にグワッとひっくり返して欲しいんだよッ!オイラはッ!』
俺「うん、たぬ吉、その気持ちは痛いほどよー分かるよ」
たぬ吉『ううう』
俺「春になったらまた何か変わるかもしれないじゃん?」
たぬ吉『何が変わるの?』
俺「それは春にならなきゃ分からん」
たぬ吉『ハァ、相変わらずだね、ご主人』
俺「うん、相変わらず」
たぬ吉『…』
俺「…」
たぬ吉『…』
俺「…」
たぬ吉『フフッ』
俺「ははは」
たぬ吉『フフフフフフ』
俺「ははは」
たぬ吉『フッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッ』
俺「ははは」
たぬ吉『フッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッフッ』
俺「たぬ吉」
たぬ吉『なぁに?』
俺「含み笑いが上手になったね」
たぬ吉『え?含み笑い?』
俺「うん」
たぬ吉『何ソレ?』
俺「うーん、あらゆる災い&希望を含んだ稀な笑いとでも申せばよろしいでしょうか」
たぬ吉『災い&希望?』
俺「うん」
たぬ吉『災いって何?』
俺「自分や自分の大切な何かに予期せず降り掛かる悪い事」
たぬ吉『ふぅ~ん』
俺「うん、多分」
たぬ吉『じゃ、希望は?』
俺「自分が望んだ通りに事が運ぶ事かな?」
たぬ吉『ふぅ~ん』
俺「うん、これも多分」
たぬ吉『その両方がオイラの含み笑いの中にあるって言うの?』
俺「うん、そうね、そんな気がするね」
たぬ吉『ご主人、オイラを何だと思ってるの?』
俺「この世が滅びない様にここにいてくれる神様が遣わした子供たぬき」
たぬ吉『え?神様?』
俺「うん」
たぬ吉『神様って誰なの?』
俺「全知全能、この世をお創りになった偉大な存在」
たぬ吉『馬鹿なんじゃないの?ご主人、この世は宇宙の法則から成り立って出来たんだよ』
俺「ははは、なるほど、無神論者の意見だね」
たぬ吉『むしんろんしゃ?何それ?』
俺「この世は科学が全てみたいな」
たぬ吉『…』
俺「…」
たぬ吉『…ご主人、精神論&リアリティー&たこ焼きなら、どれが好き?』
俺「たこ焼きかな」
たぬ吉『10歳&5歳&30歳なら?』
俺「10歳かな」
たぬ吉『お金&たばこ&お酒なら?』
俺「たばこかな」
たぬ吉『馬鹿なんじゃないの?本当に』
俺「ははは、何を今更?」
たぬ吉『…ハァ~、でも残念ながらそんなご主人がオイラは好きだよ』
俺「なるほど、ありがとう」
たぬ吉『…明日は何するの?』
俺「明日もペタペタヌリヌリと」
たぬ吉『明後日は?』
俺「それは明日考えよう」
たぬ吉『1年後は?』
俺「分からん」
たぬ吉『2年後は?』
俺「それも分からん」
たぬ吉『3年後は?』
俺「変わらずたばこ吸ってコーヒー飲んで、たぬ吉と談笑してたいね」
たぬ吉『…ご主人、オイラが死んだらどうする気?』
俺「悲しいね」
たぬ吉『オイラ&父ちゃん&ジイチャンがいなくなったらどうなっちゃうの?』
俺「その時はまた1人でどっかへ傷心の旅に出るよ」
たぬ吉『え?良かったら一緒に死なない?』
俺「ははは、仲良く?」
たぬ吉『うん』
俺「それもいいね」
たぬ吉『うん』
俺「だったら生きようよ」
たぬ吉『そっか、そうだね、うん』
俺「うん」
たぬ吉『で、結局、この会話は何だったの?』
俺「たぬ吉の盛り祝い&含み笑いの意味&無神論者の云々&たこ焼き&未来の話?」
たぬ吉『またそうやって無理矢理に上手にまとめたフリして逃げようとしてるんでしょ』
俺「え?いや、もう俺に逃げ場は無いでしょう」
たぬ吉『無いの?』
俺「無いね」
完